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なるようになる

どうあがいてもただのオタク

推しに「お金を落とすファン」が偉いわけではないのか?

 お金だけが愛じゃないっていうのは、まあ正論なんですけど。それを言って説得力があるのは、推しにお金を落としてる人ですね。

 お金がなくて恋人への出費を拒む男性から、「お金だけが愛じゃないだろ?」と言われ「私にはその金を払う価値もないのね」と憤慨する女性を見たことがあります。

 例えば、「お客様は神様です」というフレーズがあります。あなたが、接客業で働いていたとして、横暴なお客に「お客様は神様だろ!」と言われて、「そうですね」と納得することができるでしょうか。私は性格が悪いので、「自分で言うなボケ」って思います。

 つまり、お金だけが愛じゃないという価値観を含めて、「まあ、その通りですね」と納得できるような価値観であっても、その価値観を見出すのはあくまで受け手側であって、送り手側ではないと、思うのです。

 

 以前、推しのイベントがあったときのことです。

 推しはオタクの間では知名度の高い舞台に出演していることと、ファンサが良いということで、イベントのチケットがなかなか取りづらくなってきています。隣に座っていた方や、近くに座っていた方は、会話からしてみなさん大学生でした。そのファンの方たちも、最近舞台で知って、という方が多く、推しの人気を実感しました。

 イベントを終えて、チェキを終えて、興奮冷めやらぬ隣席の方々。お話させていただいた時、とっても好ましい印象だったので、もし機会があれば今後もお話させていただきたいなと思って、尋ねました。「次の舞台には、行かれます?」

「次の舞台は、チケット取ってないんですよね。そのとき金銭的に余裕があれば、行こうかなって」

 分かります。まあ、次の舞台は、今まで出演していたような人気を博してきた作品ではありませんし、人気原作やそこで登場するキャラから推しに惹かれた人たちにとっては、観に行くには少し躊躇するものでしょう。なにせ、チケット代って、(今は感覚が狂ってますが、)折角稼いだバイト代もすぐに飛んでいってしまうような高い値段ですよね。
 私も学生の時から推しを応援していたので、都内在住でない場合は交通費も馬鹿になりませんし、学生には勉学という本分もありますから、バイト三昧ともいかず。学生と言えば、コミュニティも沢山あり、なかなか推しの為だけにお金は使えない。分かります。

 ただ、どこにお金を使うかは自由ですが、学生だった私はお金を「イベント」ではなく、「舞台」に使いました。イベントは諦めて、なるべく舞台を観に行くということです。

 だって、推しを応援しているのは、「役者」であるからにならない。顔が良くてファンサが良くてチェキで神対応してくれることが望みなら、別にそれは推しじゃなくてもいいわけです。「役者」としての表現力、姿勢、努力の仕方、そういう根本的な魅力が土台にあって推しているからには、それを一番表に出す機会である「舞台」に立っている時が最も魅力的な姿に見えるのは、当然です。推しのことを、私は散々可愛い可愛いと言っていますし、最早何をしてもその可愛さで(私には)許されると思っていますが、推しを見て一番ドキドキするのは、やはり舞台上の姿です。

 そして、推しが舞台に立ち続けるためには、舞台における推しの需要を制作側にアピールしなければならない。そういう意味も込めて、舞台に行くわけです。人気作品でメインキャラクターに抜擢されれば、キャラの人気がついてきます。テニミュが良い例です。ただ、その時だけの熱量でイベントにファンが押しかけるだけでは、事務所としては「儲かる俳優」ですが、業界としてはただの「イベント芸人」です。舞台において集客力がなければ意味がない。人気作品が原作でなくても、ファンがついてきてくれる人こそ、実力があるということです。そういう人を、業界は採用したい。

 

 推しのためを思うなら、もっと活躍を望んでいるのなら、イベントではなく、舞台に行くべきです。とは言え、私も根っからのオタクですので、作品の選り好みはします。グッズにも興味がないので、推しに貢献できるのは舞台のチケットだけ。これも、平日は仕事の都合上厳しいので、休日だけですし、何より私は「自分が楽しむための観劇」というスタンスですから、無理な遠征はしません。

 推しのどのような舞台でも全通しているファンの方々や、グッズを沢山買って推しの需要をアピールするファンの方々から比べれば、お前如きが何を言うと思われるでしょう。

 そして、自分が楽しむための観劇をしている以上、前述したイベントでお会いした方たちに、文句を言うことは出来ません。イベントだけに参加している方だって、自分が楽しめるものをチョイスしているだけなのですから、碌に観劇も来ないのにイベントの倍率を上げられてチケットが手に入らないなんて困る、という資格など、ないですし、実際にそう思っているわけでもありません。

 

 ただ、「お金だけが愛じゃない」というのは、私たちから言うことではありません。イベントだけ来て、舞台に来ないファンが、「舞台は高くて無理だけど、遠くからでも応援してるもん、お金を落とすファンが偉いわけじゃないでしょ?」とは言ってはいけないのです。

 何故なら、お金を落とさなければ、推しに仕事は来ないからです。舞台俳優は、テレビを介して視聴率を上げ、需要を数字でアピールすることは出来ません。その舞台にお金を落とすことが必要です。お金を落とすファンのことを、偉いとは言いませんが、それにより推しの仕事が増えていることは事実です。それにあやかって、お金を大して落とさない私たちが、「お金だけが愛じゃないでしょ?」という権利はないのです。

 舞台でも、イベントでも、何で自分が「楽しみ」を感じるかは、人それぞれですし、ピンキリありますから、言及はしません。ただ、自分が楽しませてもらっている以上、「ありがとう」の気持ちを込めて、ファンから返せるものは返すべきだと思っています。

 勿論、これだって、必須ではありません。自分が楽しむだけが全てのスタンスであれば、そこにとやかく言うつもりはありません。ただ、一つだけ。

 それでファンを名乗るのは、やめてほしいと思っております。